2010-01-01から1年間の記事一覧
先日、「読書で日ぐらし」さんの『小林信彦と野呂邦暢』というエントリーで亡くなる前の野呂が毎月500枚書いていたことを知った。『落城記』と『丘の火』を同時に書いていた頃の話だ。この2作品を同時執筆というのは、何かが乗り移ってないと無理だろうと素…
野呂邦暢の話で必ず引き合いに出される『昔日の客』(関口良雄)。夏葉社が復刊するようだ。 TLを読むと、版画を付けるのは難しいらしい。だが快挙である。この本は、あちこちで紹介されてきたが、本当に、いい話と面白い話しか載っていない。ただ、私と同じ…
伊奈伸彦:東京で金融の業界紙で記者をやっていたが、結婚を機に妻の英子の実家がある伊佐市に転居。伊佐市では印刷会社の有明企画に就職するが首になる。父親はG島で戦死。菊池省一郎から省造の戦記を完成させ本にするという仕事を依頼される。 伊奈伸郎:…
2010年8月8日(日)まで。豊島区民センター1階 総合展示場(下の写真)。 チラシはここ安達哲の『幸せのひこうき雲』と須賀敦子の『ヴェネツィアの宿』を購入。
中古CD屋で見かけたので買って聴いている。はたしてこのフランクかどうか、自信がないがほかにフランクはいないだろう。Wikipediaを見ると、1825年 - 1891年。 最晩年の1885年頃からヴァイオリンソナタ イ長調(同郷のヴァイオリニスト、イザイのために書い…
文庫本を2冊購入。講談社文芸文庫の『椋鳥日記』(小沼丹)と集英社文庫の『本当のような話』(吉田健一)。小沼丹、まだ読んだことがない。これが1冊目。ヨシケンは単行本を途中まで読んだが、自室内紛失のため。『丘の火』(野呂邦暢)は読了。1000枚とい…
10時から18時30分まで禁煙に。熱中症予防ともいえるけど……。
奥付から「文藝春秋 昭和55年9月30日第1刷発行 著者 野呂邦暢(著作権継承者 納所長雄)」。解題から「文學界昭和53年2月号より昭和55年4月号まで連載(うち昭和54年10月号は休載)」。最後から二番目の小説。何が面白いって、これまでの野呂ワールドの住人…
集英社文庫昭和54年7月14日第1刷発行。カバー表2に、あらすじが書いてある。 「おまえがなんといって止めても、俺の布由子に対する気持は変わらない」孝志はそういい残して親友の和太留と分かれた。だが布由子は自殺未遂を起こした。なぜ布由子が死のうとし…
やっと読み終わった。『諫早菖蒲日記』は野呂邦暢の最高傑作ではないだろうか。舞台を幕末にしたこと、ぶつぎりのエピソード集にしてそれぞれの文体の完成度を高めたことで「未来の読者」に向かって語りかけることに成功している。3年後に急死するなど予想も…
私は高橋たか子の結構熱心な読者だ。虚無的で悪魔的でエロチックな(「怒りの子」までの)初期作品群は特に好きである。「怒りの子」までを初期作品としているのは私だけで、研究者はもっと細かく分類しているのかもしれないが。そして、それらが初期作品群…
『諫早菖蒲日記』(野呂邦暢)は読了まで時間がかかりそうだ。まずは、第1章を読了。帯にはこうある。 幕末――九州諫早藩の砲術指南の十五歳になる少女のみずみずしい青春の感性を透明な文体で描く純文学長篇! ストーリーといえるものはなく、15歳の志津の目…
集英社から1978年12月10日初版発行。この短編集の特徴は本の帯にあるとおりだった。 けだるさの支配する男と女の時間にくっきりと形どられる透明な悲哀! 生きていることの後ろめたさ。生活が、ザルに水を汲む作業のようにさえ思えてくる毎日――妻の愚痴が、…
出版社は角川書店。昭和54年7月25日初版発行。「野生時代」の1978年7月号から12月号に掲載したものをまとめた連作短編集だ。みすず書房から4年前に再刊されている。 アマゾンの解説にはこうある。 古本屋の若き主人、佐古啓介が、謎めいた恋や絡みあう人間模…
1979年9月10日第1刷。集英社発行。1976年〜1978年の間、西日本新聞を中心に掲載された60本ほどのエッセイを集めた本。古代史マニアだったことを知る。山王書房のことは「S書房主人」というエッセイに書かれている。入手する前にあちこちの古本屋で手にとって…
集英社、1977年12月10日初版発行。帯にはこうある。「そうか、おまえも淋しいのか」収録作品は4点。初出が書かれていないのが残念である。 ふたりの女 伏す男 回廊の夜 とらわれの冬 「ふたりの女」は「女の話」。「伏す男」と「回廊の夜」は「病院の話」。…
入手したのは、文藝春秋発行の単行本で、昭和51年4月10日第1刷。収録作品の初出は以下のとおり。 「恋人」風景 昭和49年3月号 「隣人」オール讀物 昭和50年1月号 「八月」文学界 昭和48年10月号 「高く跳べ、パック」 文學界 昭和50年8月号 「鳩の首」 別冊…
不思議なことに付箋を貼ったらすいすい読めた。一部を転記する。まずは、列車でいっしょになった客は覚えているものだ、というエッセイ。 歩廊の眺め(西日本新聞、1976年6月22日) 私が探しているのは彼らではない。やはり居た。見送り人からやや離れた位置…
高尾、西八王子、八王子、豊田、立川、国立と中央線の古本屋をまわった。そのうちの1軒で、野呂邦暢の『水瓶座の少女』(集英社文庫、コバルトシリーズ、昭和54年7月14日第1刷)を入手したが、多和田葉子はなかった。 - 下記ブログを手がかりに東横線沿線も…
『文字移植』、『旅をする裸の眼』、『玉突き書簡』を入手。 三人関係 講談社 1992 犬婿入り 講談社 1993 のち文庫 →入手済 アルファベットの傷口 河出書房新社 1993 「文字移植」と改題して文庫 →入手済 聖女伝説 太田出版 1996 ゴットハルト鉄道 講談社 19…
最近、読みはじめたブログ「古本万歩計」さんが、ブックオフで古山高麗雄を入手したことについて以下のように記していた。 どういう経緯でこの本がブックオフの棚に収まることになったのか、前の所有者はどのようにしてそれを手に入れたのか、などと考えるの…
古本屋で「野呂邦暢はあるか?」と尋ねると、在庫の有無を問わず、店主が年配の男性の場合はほとんどがファンであったと明言する。そして「あの人の随筆はよかった。今はもう、あのくらい書ける人はいない」という。ということで読み始めた『王国そして地図…
『犬婿入り』(講談社文庫)を中野新橋の古本屋、猫額洞で購入した。そして、「8月は多和田葉子にしようか……」と思いついた。 いずれ、野呂邦暢は読み終わる。だから、8月の暑い日には、飲み物を携えて公園に行き、欅の下のベンチに座って、多和田葉子を読も…
時代的には『RAINBOW-二舎六房の七人-』とほぼ同時期。昭和30年代の二十歳前後の若い男たちばかりが出てくる。自衛隊の訓練話が中心だから、とにかく体を動かす。冬山に兎狩に出かけ道に迷った(というか遭難した)海東二士がみる夢は、そこだけ切り出すとた…
昨日は電車の中でしか本を読めなかったので、文庫版を携帯した。講談社文芸文庫の野呂邦暢はこれ1冊のみ(2002年7月10日発行)。表紙に作品集とあるように、「狙撃手」「白桃」「日が沈むのを」「草のつるぎ」「一滴の夏」が収録されている。文芸春秋の文庫…
「自衛隊員」を主人公にした小説を読んだのは初めてだ(映画やアニメではよくある)。本書は昭和48年(1973年)下半期の第70回芥川賞を受賞している。同時受賞は森敦の『月山』。滝井孝作は、野呂の作品をこう評している。 野呂邦暢氏は、前回に「鳥たちの河…
入手したのは1刷ではなく2刷。帯を見ると「草のつるぎ」で芥川賞を受賞した後のようだ。奥付には以下のように印刷されている。 文藝春秋 昭和48年9月30日第1刷 昭和49年5月10日第2刷 1973年、74年というと私は洋楽ロックに夢中だった。74年は、たしか、エリ…
http://bookendless.blog81.fc2.com/自分が買った本にカバーがかけられていても、全く気にしない。本棚に並んでいても気にしない。誰それが書いた何々という本がそこにある、と記憶のどこかに残っているからだろう。そもそも、カバーしてくださいと頼んだの…
『海辺の広い庭』野呂邦暢 昭和48年3月10日(1973年)文藝春秋発行 http://amzn.to/bqgTs0本書に収められているのは、「海辺の広い庭」「不意の客」「歩哨」「狙撃手」「或る男の故郷」の5編。付箋を貼ったのは一箇所のみだった。 職業安定所のベンチで呼び…
『十一月 水晶』野呂邦暢 昭和48年2月28日(1973年)冬樹社発行 http://amzn.to/dkE6Mj本書には、「十一月」、「水晶」、「日常」、「朝の光は……」、「白桃」、「日が沈むのを」、「壁の絵」の7つの短編小説が収録されている。野呂にとっては処女作品集だっ…