『鳥たちの河口』(野呂邦暢)を読んだ
入手したのは1刷ではなく2刷。帯を見ると「草のつるぎ」で芥川賞を受賞した後のようだ。奥付には以下のように印刷されている。
文藝春秋 昭和48年9月30日第1刷
昭和49年5月10日第2刷
1973年、74年というと私は洋楽ロックに夢中だった。74年は、たしか、エリック・クラプトンが初来日した年ではなかったか。
本名と住所も記されている。
本書には5つの短編が収録されている。
鳥たちの河口(初出:文學界 昭和48年3月号)
四時間(初出: 文芸 昭和48年3月号)
世界の終わり(初出: 文學界 昭和47年6月号)
ロバート(初出: 月刊ペン 昭和44年5月号)
棕櫚の葉を風にそよがせよ(初出:文學界 昭和43年6月号)
上記の作品に付箋を貼ることはなかった。文体に慣れてしまったのだろう。個々の作品の感想は別の機会に記すが、「鳥たちの河口」「四時間」「棕櫚の葉を風にそよがせよ」は、地方都市を舞台にしているせいか、絲山秋子の作品を思い出した(「世界の終わり」は無人島。「ロバート」は荻窪)。小説の中で音楽が鳴っていないのも特徴かもしれない。