白石一文

デビュー前に書かれた短編集『不自由な心』(白石一文)は悪くない

白石一文の『不自由な心』(角川文庫)は、捨てるのを躊躇ってしまった。悪くないのだ。 内容(「BOOK」データベースより) 大手企業の総務部に勤務する江川一郎は、妹からある日、夫が同僚の女性と不倫を続け、滅多に家に帰らなかったことを告げられる。そ…

友人の妻との情交で腰痛が治る「もしも私があなただったら(白石一文)」

白石一文の博多ものの1冊、「もしも、私があなただったら」(2006年4月) 内容(「BOOK」データベースより) 6年前に会社を辞め、郷里の博多に戻ってきた藤川啓吾。小さなバーを経営する現在の彼には、どうしようもない孤独と将来への漠たる不安があるだけだ…

白石一文の小説はサラリーマン小説。「一瞬の光」(角川文庫)

589ページもあるが、いつものように、あっというまに読み終えた白石一文のデビュー作(2000年1月)。白石の小説は島耕作だということに気が付いた。そして、読み終えてから捨てたくなる衝動も自分で納得した。コミック雑誌は読み終えたら駅で捨てているから…

前半、ダメ人間の時の主人公の忘れっぽさが素敵な「すぐそばの彼方 (白石一文)」

5冊目に読んだのは「すぐそばの彼方 」(2001/07)。白石の3作目。このときはまだ文藝春秋に勤めていたのかな。 内容(「BOOK」データベースより) 次期首相の本命と目される大物代議士を父にもつ柴田龍彦。彼は、四年前に起こした不祥事の結果、精神に失調…

セックス描写がエロい「見えないドアと鶴の空」(白石一文)(光文社文庫)

4冊目は「見えないドアと鶴の空」(2004年2月)。あっという間に読み終えた。 内容(「BOOK」データベースより) 結婚して六年。繁村昂一は、二年前に出版社を辞め、失業中の身。いまは大手代理店に勤める妻の絹子が家計を支えている。ある日、昂一が、絹子…

どこかで聞いたような懐かしい話:「この世の全部を敵に回して(白石一文)」

白石一文の『この世の全部を敵に回して』だが、「居酒屋で知り合った、面白いんだけど深く絶望しているオジサンの人生論」だ。表紙の顔そのまんまの内容。 内容(「BOOK」データベースより) 私という人間は、生まれてこなくてもちっとも構わなかった。二十…

白石一文を初めて読んだ:僕のなかの壊れていない部分(光文社文庫)

喫茶店で本を読もうと思い、駅前の本屋でたまたま手にとった『僕のなかの壊れていない部分』を購入した。駅前の本屋というのは、よく売れる本しか置いていないものだ。そこそこ人気のある作家なのだろう。白石一文は私と同世代ということは知っていた。同世…