『草のつるぎ』(野呂邦暢)を読み始めた
「自衛隊員」を主人公にした小説を読んだのは初めてだ(映画やアニメではよくある)。
本書は昭和48年(1973年)下半期の第70回芥川賞を受賞している。同時受賞は森敦の『月山』。滝井孝作は、野呂の作品をこう評している。
野呂邦暢氏は、前回に「鳥たちの河口」という小説の題名も気の利いた、風物描写に詩情のみえる佳作を出したが、今回の「草のつるぎ」は、自衛隊の新隊員の手記で、自衛隊の初期訓練、演習なども克明に書いて、班員の性格も描き分けて、地面に喰いついたようなひたむきな粘りがみえた。この人は、気の利いた作も書けるのに、今回は更に無器用なものを出して、私は、今回九篇の中ではこれが一番よいと思った。
http://uraaozora.jpn.org/akuta70.html
受賞した『草のつるぎ』は海東二士を主人公にした第1部にあたり、第2部の『砦の冬』に続いているらしい。
この本は売れたのだろう。容易く入手できた。ただ、アニメのスカイクロラやソ・ラ・ノ・ヲ・トを思い出しながら読んでいるところが……私には、自衛隊は遠い存在だったということだ。
本書については、続きを書く。