多和田葉子

『きつね月』(多和田葉子)は濃縮チョコレートのような短編集

新書館 1998年2月25日 初版第一刷多和田葉子の『きつね月』は、18の短編を収録。「ねつきみ」のみ書き下ろしで、そのほかは『大航海』連載(1994年12月〜1997年10月)に連載されたものだ。大半は、一粒食べると胃がもたれる濃縮されたチョコレートのようで、…

『ゴッドハルト鉄道』(多和田葉子)を読み終えた

『ゴッドハルト鉄道』1996年5月30日第1刷(講談社)を家で、『ゴッドハルト鉄道』2005年4月10日第1刷(講談社文芸文庫)を電車の中で読んだ。初出は以下のとおり。 ゴッドハルト鉄道 「群像」 1995年11月号 無精卵 「群像」 1995年1月号 隅田川の皺男 「文学…

『聖女伝説』(多和田葉子)は『三人関係』の変奏だろう

初出:批評空間II-1(1994年4月)からII-9(1996年4月)に連載 1996年7月10日発行(太田出版) 装幀・造本=菊池信義『聖女伝説』では「わたし」、「鶯谷」、その他の人物たちとの三人関係が描かれる。眼科医の父を持つ主人公の「わたし」は聖女になりたい女…

多和田葉子の『文字移植』は面白かった!

カナリア島はアフリカの北西にあって常夏の楽園らしい。翻訳を生業としている、中年というにはまだ少し若い女主人公がその島に数日間滞在し、締め切りの迫った翻訳作業をする。翻訳は「創作する」というのと少し異なるが、それでも仕事中はプチ錯乱状態にな…

多和田葉子の『犬婿入り』を読み終わった

10年ぶりの再読だが、今回のほうが楽しめた。読み方が変わったのだろう。 ペルソナ 「群像」 1992年6月号 犬婿入り 「群像」 1992年12月号 「ペルソナ」に、上手いと思った表現がいくつかあったので2つほど抜き出してみる。 中国がそんなにのんびりとしたと…

多和田葉子の『三人関係』を読み終わった

『三人関係』の奥付は、1992年3月12日第一刷 講談社。収録作品は、 かかとをなくして「群像」1991年6月号 三人関係「群像」1991年12月号 の2つで、「かかとをなくして」は1991年の第34回群像新人文学賞を受賞している。当時の審査員は、柄谷行人、田久保英夫…

多和田葉子を読み始めた

夜になると涼しい風を感じる。明日は雨か。まずは『三人関係』(講談社、1992年3月12日発行)

8月のスケジュールが埋まっていく〜多和田葉子著作入手更新

『文字移植』、『旅をする裸の眼』、『玉突き書簡』を入手。 三人関係 講談社 1992 犬婿入り 講談社 1993 のち文庫 →入手済 アルファベットの傷口 河出書房新社 1993 「文字移植」と改題して文庫 →入手済 聖女伝説 太田出版 1996 ゴットハルト鉄道 講談社 19…

8月の暑い日に欅の下のベンチに座って多和田葉子を読もうと思った

『犬婿入り』(講談社文庫)を中野新橋の古本屋、猫額洞で購入した。そして、「8月は多和田葉子にしようか……」と思いついた。 いずれ、野呂邦暢は読み終わる。だから、8月の暑い日には、飲み物を携えて公園に行き、欅の下のベンチに座って、多和田葉子を読も…