『水瓶座の少女』(野呂邦暢)を読み終えた。

集英社文庫昭和54年7月14日第1刷発行。カバー表2に、あらすじが書いてある。

「おまえがなんといって止めても、俺の布由子に対する気持は変わらない」孝志はそういい残して親友の和太留と分かれた。だが布由子は自殺未遂を起こした。なぜ布由子が死のうとしたのか、孝志は思いをはせた。そして影山先生は、布由子のため北高のために、覚醒剤を売っているというスナック”アラビア”を探ってほしい、といいだした。一方、布由子から孝志に夕食の招待がきた……。

水瓶座の少女』は12の連作短編集である。主な登場人物は、主人公で高校2年生の宮本孝志。彼は銀行員の息子である。親友の鳴海和太留は医者の息子。母親はいない。早熟で孝志の相談相手になってくれることが多い。孝志が好きになる青柳布由子は大学教授の娘。ただし、父親は数年前に亡くなっている。母は後妻だ。そして、ハムレットの読解を中心に、孝志がいろいろなことを教わる英語の酒井先生。さらに、その姪の夏子。

読み始めたときに、カバーの紹介文はあまりにも超展開では?と感じたのだが、読み進めるにつれ、だんだんラノベらしくカバーどおりの超展開になっていった。

野呂自身が気に入っていたセザール・フランクは、鳴海和太留のお気に入りである。青柳布由子が好きなシルヴィア・ハルトマンという詩人(架空?)の詩集が重要な役割を果たすが、これはシルヴィア・プラスがモデルか?

奥付の著者紹介にはこうある。

のろ・くにのぶ 昭和12年長崎市に生まれる。県立諫早高校卒業後、上京して各種の職業にたずさわる。昭和48年、「草のつるぎ」で第70回芥川賞受賞。「文彦のたたかい」(コバルトシリーズ)のほかに「鳥たちの河口」「ふたりの女」などの著書がある。趣味は猟銃をたずさえて山野を歩くこと。

読了の記録という意味で記した。

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