前半、ダメ人間の時の主人公の忘れっぽさが素敵な「すぐそばの彼方 (白石一文)」

5冊目に読んだのは「すぐそばの彼方 」(2001/07)。白石の3作目。このときはまだ文藝春秋に勤めていたのかな。

内容(「BOOK」データベースより)
次期首相の本命と目される大物代議士を父にもつ柴田龍彦。彼は、四年前に起こした不祥事の結果、精神に失調をきたし、父の秘書を務めながらも、日々の生活費にさえ事欠く不遇な状況にあった。父の総裁選出馬を契機に、政界の深部に呑み込まれていく彼は、徐々に自分を取り戻し始めるが、再生の過程で人生最大の選択を迫られる…。一度きりの人生で彼が本当に求めていたものとは果して何だったのか。

本書は、政界を舞台にしているが、あっちでもこっちでも女を孕ませて、でも一番好きなのはキミ!という、三角関係小説。主人公の龍彦がダメ人間のときの忘れっぽさが素敵だ。

吉行淳之介の関係小説では感じなかったが、白石一文の小説では、主人公が「女が途切れない身勝手な男」に見えてくるのはなぜだ?セックス描写が短くて、というか女性の描写が少なく、その結果、関係が希薄に見えるからか?それともモデルがいないからか?