『ゴッドハルト鉄道』(多和田葉子)を読み終えた

『ゴッドハルト鉄道』1996年5月30日第1刷(講談社)を家で、『ゴッドハルト鉄道』2005年4月10日第1刷(講談社文芸文庫)を電車の中で読んだ。初出は以下のとおり。

  • ゴッドハルト鉄道 「群像」 1995年11月号
  • 無精卵 「群像」 1995年1月号
  • 隅田川の皺男 「文学界」 1994年1月号

大笑いはしなかったが、押さえの効いた性描写はニヤニヤニタニタ多和田葉子をこれまで読んでこなくて正解だった。一気にまとめ読み、あと20冊くらいあるが、もっと残酷な猥褻なシーンがあるのではないかと、わくわくしている。

多和田葉子の作品は、細部は駄洒落みたいな言葉遊びを含めてオリジナルだろうけど、骨格はパロディだろう。どんな作品もボロボロにして、元の痕跡を残さない。もちろん、そんな推測は間違っているのかもしれないが、私が過去に読んだり、見たり、聞いたりしたことを思い出させるわけで、そのように読者の勝手な想像を許すところがある。

「ゴッドハルト鉄道」は内田百間の「阿呆列車」を、昔の鳩の町と現代を往来する「隅田川の皺男」は永井荷風吉行淳之介を思い出した。非常に映像的な「無精卵」は……悔しいが小説では浮かんでこないが、それは「少女」にさほど関心がないからで、アニメのエウレカに出てきたワルサワやソ・ラ・ノ・ヲ・トくらい。

早稲田の露文出身らしいが、ナボコフでもやったのか?

次は『きつね月』。