加藤周一の『読書術』

先日、国立を散歩していたとき、古本屋で加藤周一の『読書術』を見つけた。小学生のときに読んだ多湖輝の『頭の体操』シリーズと同じ光文社のカッパ・ブックスだ。

あの加藤周一がこんな本を出していたのかと驚き読んでみた。すると、これが古臭くない。

奥付を見ると、昭和37年(1962年)10月とある。

ネットで検索してみると、昭和63年65刷というものも売られている。10年前に岩波からも文庫化されていた。

岩波版も買ってみたが、こちらはイラストはない。1992年のあとがきによれば元々高校生に向けて書いたものらしい。気になったのは以下の箇所。

「『オーディオ・ビジュアル』の情報が、活字情報を駆逐する時代が来た、という人がいます。しばらく前にマクルーハンというハッタリ屋が、そういうデマをとばして、大勢のあまりアタマのよくない人々をだましたのは、その例です」

加藤周一が亡くなったのは2年前だから、ネット環境は今日とさほど変わらない。晩年の彼がどう考えていたのか、知りたくなった。