ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる

いまはどこで何をされているのか不明なウクレレ弾きの詩人、江田昭宏さんから教えてもらった山川方夫。その山川方夫が師事していたのが二ノ宮在住の劇作家、梅田晴夫であり、その梅田の息子が梅田望夫といい、この新書本の著者だ。本人が父親と山方方夫の関係を知った頃は、まだブログがブームになっていなかったようである。

この梅田の本は、若い人向けにやや扇動的に書かれている啓蒙書だから、ずっと読まずにいたら、もう10刷。そろそろ読んでおかないと話題についていけないかもと思い、地下鉄丸の内線の荻窪・池袋を往復した機会に読んだ。

これは、西垣通の「情報学的転回―IT社会のゆくえ」と対になっている本だな、というのが私の感想。

対というのは、西垣は、どちらかというと警鐘を鳴らしているから。

かつて、マイコン万歳!、マイクロソフト万歳!、マルチメディア万歳!、インターネット万歳!、そんな新書を読んだ人には懐かしいトーンに溢れている。一言で言えば、「暗黒面には目をつぶれ」ということだ。

梅田は、社員の多くが団塊ジュニア世代で構成されているグーグルと対比するためか、50歳を過ぎたビル・ゲイツの年齢を強調している気がする。だが、サン・マイクロシステムズ、ノベルを経てグーグルのCEOを務めているエリック・シュミットは、ビル・ゲイツと同じく1955年生まれである。と書いてみると、MS-DOSUNIXの頃と、さほど変わらない構図だ。

光だけを見ていると、それはそれで楽しいことも多いのだろう。