魔法 クリストファー・プリースト

訳者:古沢嘉通 2005年1月31日発行 早川書房

立原正秋を続けると書きながら、クリストファー・プリーストの『魔法』である。物語は、爆弾テロに巻き込まれ、入院しているグレイのもとに、魅力的な女性、スーザンが訪れるところから始まる。

が、ここは、クライマックスの1つだけ(469ページ)。

「これを見て」

 空いているほうの手で、スーはすばやくブラウスのボタンを上からはずした。グレイをうしろに従えたまま、彼女はひとりの男の前にいき、さっとブラウスのなかに手をつっこんで、乳房の片方をすくいだした。彼女は男のほうに身をかがめ、その顔の数インチ手前に乳首を突きつけた。男は友人と試合の戦略の話をつづけており、彼女のことを完璧に無視した。

スーザンが怪しい・妖しい女性であることは、冒頭から気がついていたが、このような展開になるとは、想像もできず、またそれがスーザン(たち)の本質だったところに『魔法』の闇の部分がある。

グレイは、躓かなかった。私だったら、おそらく躓いただろう。

ここで立原正秋につなげることができる。